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ドキュメント滑落遭難

Posted on 2018年2月12日 | No Comments

遭難にまつわるドキュメンタリ本。これが、なんとも面白すぎる。他人が遭難した記録を読んで、面白すぎるという感想は、不謹慎かもしれない。しかし、ここに記された実録遭難物語と、起きてしまった事故の検証は、半端な小説よりも、スリリングで、遭難を追体験しているようで、ダントツに面白いのだ。

本書は、ドキュメント滑落遭難ということで、ちょっとした不注意から、つまずいたり転んだりして大ケガや死に直結する事故をまとめている。滑落が起きる危険因子はどこにあるのか、7つの事例を取り上げ、原因を探り、防ぐ方策を検証している。

遭難という、人の生き死にが、記されている。その記録が、事実であるということが、読者を引き込むわけだが、もうひとつ読者を引き込む要素に、著者である羽根田治の、取材をまとめて読み物として再構成する能力が、非常に高いことがあるだろう。遭難者の視点、救助者の視点、家族の視点、とひとつのドキュメントの中で視点が移動し、遭難事故が多角的に構成、展開される。すべてが終わってから紡ぎ出される物語は、ある意味で神の視点を持ち、正義と倫理ですべてを諮ってしまいかねないところを、絶妙のバランスで語りきっている。どうして遭難がおきるのか、どうしたら遭難を防ぐことができるのか、著者が遭難ドキュメントを執筆する基本スタンスはここにある。

なぜだか妙に引き込まれ、次々とエピソードを読み進めてしまう、なんとも中毒的なシリーズは、山に登らずともおすすめの一冊。

ドキュメント滑落遭難




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