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壊れやすいもの

Posted on 2017年8月14日 | No Comments

アメリカンコミック『サンドマン』の原作者にして、世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ブラム・ストーカー賞、ニューベリー賞など、SFやファンタジーなどを題材とした作品に贈られる文学賞を総なめにしてきた、そんな多彩で多才な天才的な著者 二ール・ゲイマンによる中短編集。

31の作品が収められており、小説や詩、自作の後日譚や有名作品のパロディなど、その作品の幅は、怪奇、奇想天外、コミカル、ブラック、スリラー、ミステリー、スプラッターなどなど、かなり幅広い。

収められた作品のごく一部、気にいった作品の雑感。『翠色の習作』は、ホームズ・ミーツ・クトゥルフというキワモノにして、ホームズパロディとしても傑作。『十月の集まり』は、擬人化された十二の月が物語を語り合う会をひらいており、それぞれの物語断片と雰囲気が魅力的。『メモリー・レーンの燧石』は、著者が体験した本当にあったお話ということで、あっさりしているのがこの一連の作品集のなかで味わい深い。『苦いコーヒー』は、ロードムービー的ゾンビもので、ニューオリンズの街が白昼夢的世界に落ちていく。『他人』は、オチが予想できるというところで、よくできたショートショート。『ミス・フィンチ失踪事件の真相』は、悪夢的なサーカスもので、どこかコミカル。『指示』は、ファンタジーというか、おとぎ話的なお約束をまとめた詩だが、読んでいてなんとも面白い。『食う者、食わせる者』は、猫グロテスクな作品。『ゴリアテ』は、マトリックス世界を描いたもので、リロードされ繰り返される世界の描写が面白い。『パーティで女の子に話しかけるには』は、トワイライトゾーンか、軽い感じのキングの短編かといった雰囲気。『アラディン創造』は、シェヘラザードによる千夜一夜物語創造の舞台裏を描く。『サンバード』は、美食倶楽部の面々が幻の食材サンバードを求めて……繰り返される歴史的なラストも見事。

どれもこれも味わい深く、エログロからファンタジック、乙女チックで男らしい、形容しがたい作品集。二ール・ゲイマンの作品を一度でも読んだことのある人なら、間違いなく楽しむことができるだろうし、はじめての二ール・ゲイマンをここから始めるのも、ある意味でうらやましい。雑多でバラエティに富んだ作品集ながらも、どうまとめても、二ール・ゲイマンらしくなるのが、本作の凄いところだろう。

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