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田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

Posted on 2016年5月1日 | No Comments

タルマーリーという自家製天然酵母のパン屋さんが書いた、経済についての一冊。といっても、ただパン屋が経済を語るわけではなく、フリーター生活から大学で農業を学び、社会に出たものの、世の不条理についていけず、そこから心機一転、夢枕に立った祖父の言葉に閃き、パン屋を志し、田舎でパン屋をやることになった、とある夫婦/家族の物語であり、その人生の途上で出会い、影響を受けたマルクスとエンデの考え方について、身近な事例を用いて分かり易く書かれた経済学入門的でもある一冊、となっている。

経済学入門といっても、お固い記述はどこにもなく、パン屋の起業成功物語@田舎として、気軽に読むことができる。まったく無関係なようでいて、パン屋になることと、経済について知ることが、自然と密接に絡み合っているので、読んでいて違和感はない。

この手の起業物語によくあるように、大きな問題が起きたときには、いいタイミングでよい出会いがある。素晴らしい友人、もしくは師匠的な存在から、アドバイスや助けがあったりして、悩んだり苦しんだりしつつも、問題を乗り越えていくのだ。田舎暮らし×起業の定番ながら、これをマニュアル的に読んではいけないだろう。出会いと助けがあるのは、個人的な資質であり、必然なのだ。

大きすぎて問題として認識するのも難しいような、グローバリゼーションに関する問題、さらには身近であたりまえすぎて、問題としてとらえられないような、地域共同体の問題などなど、現代の社会が抱えている様々な問題に対して、パン屋を通じて取り組んでしまっているのが、とても興味深く面白い。これらの問題を解決してやろうとして、パン屋やっているわけではない。著者が考える、まっとうで正しいと思うことを考えに考えぬいて、出てきたアウトプットが、社会の問題を的確にとらえているだけなのだ。

田舎暮らし、地方で起業、3.11後、菌&醸す、マルクスの資本論、ミヒャエル・エンデ、地域内通貨、地域内循環などなど、これらのキーワードどれかにピンとこれば、一読してみることをおすすめする。

蛇足ながら、タルマーリーについては、著者の格さんがわたしの友人の友人という、微妙な関係であったことから、千葉にお店があったときから知っていて、美味しいパンもいただいたことがある。

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」




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