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ドキュメント道迷い遭難

Posted on 2016年4月3日 | No Comments

遭難にまつわるドキュメンタリ本。これが、なんとも面白すぎる。他人が遭難した記録を読んで、面白すぎるという感想は、不謹慎かもしれない。しかし、ここに記された実録遭難物語と、起きてしまった事故の検証は、半端な小説よりも、スリリングで、遭難を追体験しているようで、ダントツに面白いのだ。

本書は、ドキュメント道迷いということで、山に入り、道に迷い、何日間も山中をさまよう恐怖がまとめられている。登山者の盲点でもある、誰もが陥りがちな道迷い遭難。7つの事例を取り上げ、原因を探り未然に防ぐ方策を検証している。

遭難という、人の生き死にが、記されている。その記録が、事実であるということが、読者を引き込むわけだが、もうひとつ読者を引き込む要素に、著者である羽根田治の、取材をまとめて読み物として再構成する能力が、非常に高いことがあるだろう。遭難者の視点、救助者の視点、家族の視点、とひとつのドキュメントの中で視点が移動し、遭難事故が多角的に構成、展開される。すべてが終わってから紡ぎ出される物語は、ある意味で神の視点を持ち、正義と倫理ですべてを諮ってしまいかねないところを、絶妙のバランスで語りきっている。どうして遭難がおきるのか、どうしたら遭難を防ぐことができるのか、著者が遭難ドキュメントを執筆する基本スタンスはここにある。

なぜだか妙に引き込まれ、次々とエピソードを読み進めてしまう、なんとも中毒的なシリーズは、山に登らずともおすすめの一冊。

ドキュメント 道迷い遭難




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