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ベヒモス クラーケンと潜水艦

Posted on 2015年8月7日 | No Comments

スチームパンクな世界での、第一次世界大戦を描いた三部作の第二部。ヨーロッパを中心とした対立するふたつの勢力、遺伝子操作された動物を基盤とするイギリスなどダーウィニストと、内燃機関など機械文明を発達させたドイツなどクランカーは、ついに世界大戦に突入した。公子アレックと兵士になるため男装した少女デリンをのせた巨大飛行獣リヴァイアサンは、特命のためオスマン帝国へ向う。

静から動へ緩やかに物語が動いた第一部 リヴァイアサンとは違い、この第二部では動から動であり、ひたすらに転がりつづける。舞台となるのはオスマン帝国の都市 イスタンブール。リヴァイアサンから脱走を図ったアレックと、特命の任務を受けてイスタンブールに降り立ったデリンによる、テロ活動的冒険活劇が第二部の中心となっている。

それにしても、第一部のときからアレックの迂闊さには、公子という世間知らずなキャラクターながらも、驚かされるというか呆れるというか、なんとも感情移入しずらいキャラクターとなっている。対するデリンも、男装の少女という設定ながら、女性性を感じさる描写もほとんどなく、胸のでっぱりなど表面的な部分にとどまっている。とはいいつつも、どのキャラクターも魅力的で、このスチームパンクな第一次世界大戦の世界を、自由自在に動きまわっていて物語にぐんぐんと引き込まれていく。

巻末の訳者あとがきによると、サブタイトルは編集部がつけたものということ。クラーケンも潜水艦も、その単語はでてくるが、物語にソレそのものが登場することはない。訳者はこのサブタイトルに納得がいってないようだ。個人的には、第一部のサブタイトルにある蒸気機関も、この物語世界では内燃機関が技術としてあるのだから、(たぶんスチームパンク=蒸気を意識してだろうが……)違和感があった。

本書の魅力といえば、物語だけでなく挿絵も素晴らしい。同じく訳者あとがきによると、企画段階からイラストとの連携を構想しイラストレーターを選び、著者とイラストレータの綿密なコラボレーションにより、お互いにコミュニケーションしながらシーンを選び作り上げてきた。言葉から絵にするにあたって、作品世界が具現化することで、よりリアルな物語が出現したのである。

ベヒモス―クラーケンと潜水艦 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)




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