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量子怪盗

Posted on 2015年7月1日 | No Comments

時は金なり、命なり。

とある小惑星群にある<監獄>に囚われている量子怪盗 ジャン・ル・フランブール。高度な戦闘能力と黒い翅を持った美少女 ミエリの力によって、永遠の囚われの身となっていた量子怪盗が、脱獄させられる。ミエリはフランブールに、脱獄させた見返りとして、火星でとあるものを盗んでほしいと告げる。その頃、火星では千年紀長者 ウンルー主催のパーティーの準備が進められていた。怪盗から届いた予告状に対し、数々の事件を解決してきた青年探偵 イジドールが呼び出され…

量子怪盗、黒い翅を持つ美少女、青年探偵のほかにも、舞台となる火星の都市 ウブリエットの治安を守る義人 ツアディークたち、超テクノロジーを持つ異星人 ゾクの一族、ゾクの大長老の娘 ピクシル、都市を襲う謎の怪物たち フォボイなど、魅力的にして複雑なキャラクターが動きまわり、暴れ回り、いつしか忘却の都市 ウブリエットに隠された秘密に物語は収束していく。

有翼戦闘美少女 ミエリは、ツンツンでボクっ娘だし、超技術異星人次期マスター少女 ピクシルは、ツンデレでオレっ娘だし、量子怪盗 ジャン・ル・フランブール(ルパンの偽名)は、どこか三枚目ながらも盗みの腕は抜群だし、青年探偵 イジドールは、神経質そうでオタクぽいがモテる朴念仁だし、翻訳の妙もあって登場人物みなキャラがしっかり立っていて、それぞれの性格もわかりやすく読んでいて心地よい。

読みはじめは、その遠未来の超テクノロジーや数々の設定からくる造語の波に飲み込まれて、なかなかついていけないのだが、次第に慣れてくるとキャラクターの動きに物語が乗りはじめて、気にならなくなる。ダイヤモンドでできた宇宙牢獄、人工知能で人格を持った宇宙船、魂を抜き取りアップロードするゴーゴリ攫いたち、量子的絡み合いを用いた量子念話による通話などなど、SF的にこれらの設定を深追いしていくことも楽しいが、キャラクターを追いかけながら、純粋にエンターテイメントとして楽しむのもよい。

続編が待ち遠しい。

だれもがかならず身につけているのは、いうまでもなく、携帯時計(サイフ)だった。これは形もタイプもさまざまで、腕時計型もあれば、ベルトのバックル型もあるし、ネックレス型や指輪型もある。そのすべてが時(カネ)を――有身貴族(ノーブル)としての持ち時(ガネ)を――計測するものだった。時(カネ)を使いはたせば、その人間は静者(クワイエット)となり、機械の中に転生して苛酷な労働に従事し、また時(カネ)を稼がねばならない。

量子怪盗 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)



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