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光車よ、まわれ!

Posted on 2015年4月27日 | No Comments

魅力的で謎めいた少女。秘密基地。不気味な同級生3人組。警察よりも恐ろしい謎の組織。鏡の世界的なアンダーワールド。残酷であっけない仲間の死。両義性の不思議な老人。

いわゆる児童文学とはいえ、この幻視者=visioneerのための物語を、子供のためだけにしておくのは、もったいない。

物語の序盤から、敵らしきものが登場するのだが、その正体と彼らの目的がはっきりしないままに、物語はぐいぐいとドライブして進んでゆく。簡潔なわかりやすい文章でありながら、どこか置き去りにされる感が、心地よい眩暈を覚える。

心地よいと言いつつも、物語が動けども、先が読めず、ページを捲るたびに突きつけられる展開が、凄まじく強烈だ。ひたすらに水たまりが不気味であり、仲間の死が唐突にあり、裏の世界の住人は狂気に彩られ恐ろしい。どこを読んでも、色の無い極彩色的世界で、言葉から立ち上るイメージが目を焦がすのだ。

善と悪、敵と味方という、二項対立の従来的な物語からの脱却を、目指して書かれたということ。悪が悪ではなく、善が善ではない両義性を保ちつつ、感傷的なフィナーレと終わらない物語を匂わせるエンディングは、消化しきれない部分も多々あるが、これだけ上質なイメージの洪水に溺れてみるのも、悪くはない。

光車よ、まわれ! (fukkan.com)




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