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平ら山を越えて (奇想コレクション)

Posted on 2015年3月30日 | No Comments

SF短編集とはいえ、SF的な要素は隠し味にアクセントとしてある程度で、著者の語りをただ楽しむのがよい。

表題作『平ら山を越えて』は、ほら話というか、アリエナイ系というか、アパラチア山脈が隆起して成層圏を突入してしまい、その隆起した山脈を越えていく道をゆく、トラックの運転手である主人公と、ヒッチハイカーの少年のロードムービー的な物語。陸ロブスターとか可笑しなものも出てくるが、爽やかな読後感。裏表紙をしっかり見届けよ。

『ちょっとだけ違う故郷』は、二人の少年と病気の少女の物語。町の片隅に隠されていた(と気づいてしまった)エアロプレーンで飛び立ってしまった彼らが、「ちょっとだけ違う」自分たちの町に不時着してしまう。そこで出会ったのは――アナザーワールドか、鏡の世界か、IFの世界か、感傷的でなぜだか夏休みに読みたくなるショートストーリー。

『マックたち』は贖罪と救済について、『謹啓』は社会的に「死」を与えられる是非は置いておいて、死を前にした瞬間の家族をみっちりと描く。その他5編、全9編の物語を収録している。

ガチガチのSFにこだわらず、藤子・F・不二雄が言うところの「すこし不思議」な海外文学の名作を、ジャンルを超えて集成していくという、このシリーズ。河出書房新社の奇想コレクションが、気になる。

平ら山を越えて (奇想コレクション)




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