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降りていく生き方―「べてるの家」が歩む、もうひとつの道

Posted on 2014年10月30日 | No Comments

『べてるの家』について取材し、まとめられた一冊。

『べてるの家』とはいったい何か、一般的にわかりやすく云うと、精神障害者社会復帰支援施設ということになるのだろう。しかし、この言葉からイメージされる施設と、『べてるの家』は根本的に違う。何がどう違うのか、どうして違うことが可能なのかが、本書に記されている。

『べてるの家』に関する本は、多く出版されているが、本書は『べてるの家』誕生の経緯から、今日までの流れを体系的にわかりやすく描いている。キーパーソンのインタビューを通して、また象徴的な事件や出来事を通して、『べてるの家』がどう成長して、変わってきたのかわかるようになっている。

このキーパーソンというのが重要で、普通は施設を運営する側、つまりは医師であったり、ワーカーなど職員が主となるのだろうが、べてるの場合は違う。主は、精神障害者にあるのだ。彼らがどうしたいか、どうなりたいのか、をエンジンに『べてるの家』は動いている。

そもそも、精神障害者の社会復帰支援とは、いったい誰のためのものなのか、と根本から問い直す。社会復帰すること、薬を飲んで普通になることが求められ、病気を認めない、否定することが正しいのか。援助する側の視点でのみ語られてきた、これまでの歪な構造について、改めて気づかされる。そして同時に、援助する/援助されるという関係性に、新しい視点を持ち込んだことがわかる。これが『べてるの家』の面白さであり、素晴らしさなのだ。

爆発学、分裂病は友だちが増える病気だ、幻聴さん、しあわせは私の真下にある、妄想・幻覚大会、降りていく生き方など、本書には、面白くも痛快で、非常に重要なキーワードが盛りだくさんである。それぞれの意味を考えるだけでも、本書を読む価値がある。

精神障害者共同作業所「ハーモニー」幻聴妄想かるたの登場も、『べてるの家』があったからこそではないかと思う。

『べてるの家』について興味を持ったらば、まず本書から読み始めるのがよい。

降りていく生き方―「べてるの家」が歩む、もうひとつの道




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