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サバイバル登山家

Posted on 2014年10月23日 | No Comments

表紙の写真に思わずひいてしまい、気にはなっていたが読んでいなかったのだが、そのエグい、狙った感の強い表紙と違い、内容はナイーブで内省的、それでいてエゴや欲望の生々しさが表れていて、とても面白い。

本書のタイトルとなっているサバイバル登山とは、衣食住のできる限りを山の恵みでまかなう登山、と定義されている。実際には、最低限の装備と食料を持ち、沢を遡りながら岩魚を釣り、蛙を捕らえ、山菜を摘みとり、タープで雨露をしのぎ眠る。そんなハードな登山だ。

原始の人類に対する、強烈な憧れ。生きようとする自分を、経験することを求めて山に入る。この自然との対等な関係を目指す登山を、ごく一般の登山者が真似することは難しいが、シンプルな思想には共感するところがある。登山家というより、冒険家というほうが適している。そのエゴイスティックな生々しさも含めて、簡潔にわかりやすく、本書に記録されている。

著者の服部文祥は、鉄砲による狩猟も始めているという。銃という文明の最先端で、野生動物と相対することに対しての疑問もあるようだが、山で出会った鹿を撃ち、その場で捌き血を抜き、その鹿を食料とするため、担いで山を歩く。その姿から漂う生命力に、憧れを超えたものを感じる。環境だ、エコだ、とかいいながら、自然のすべてを人間がコントロールできるかの如き妄想に、頭の先までどっぷり漬かっているその勘違いを、根本からグラつかせる強度。

第三章 冬黒部は、サバイバル登山からは若干ズレた蛇足ながらも、山行記として面白い。自分探し、などというくだらない言葉で誤魔化さずに、単純に生に疑問を持ち、生を求めている姿は、馬鹿みたいに素直で美しいと感じた。

サバイバル登山家




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