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夜更けのエントロピー(奇想コレクション)

Posted on 2012年10月6日 | No Comments

SFの名作 ハイペリオンの、そしてジャンルを超えて最高の作品を生みだしつづける巨匠ダン・シモンズの短編集。

デビュー作である「黄泉の川が逆流する」、現実と非現実を見失い...「ベトナムランド優待券」、チャウシェスク体制下前後のルーマニアを舞台にした社会派であり吸血鬼&HIVモノ「ドラキュラの子供たち」、はさみこまれる過去のエピソードに不安定になりながらも、さわやかに終わる表題作「夜更けのエントロピー」、かつての教え子ケリーを殺すため異世界を独り追跡する美しい作品「ケリー・ダールを探して」、かなり強引な設定(ゾンビ学園モノ)だがしっかりと読ませてしまうその技量にも驚く「最後のクラス写真」、バンコクのじっとりした湿度と熱気を追体験できる奇譚「バンコクに死す」の7編。

良質のホラーでありファンタジーでありSFでありミステリであり...ただただ素晴らしい作品。

 ただ作品の多様さとは裏腹に、使っている題材はわりと共通するものが多いのもシモンズの特徴です。本書の各作品も、ゾンビ・吸血鬼・ベトナム戦争・エイズ・教師・保険といったキー・ワードの組み合わせで括ることができます。もともとホラーでデビューした作家ですから、吸血鬼やゾンビはなじみ深いがジェットなのでしょう。ベトナム戦争とエイズを取り上げるのは、この作家の社会的な関心を示しています。教師が主人公になる作品は、自身の教師生活を繁栄していると考えられるでしょう。保険に関する話は、保険調査会社を営む弟のウェイン・シモンズから仕入れているようです。そうしたテーマがあるいは絡まり合い、あるいは独立して、味わいの異なる七つの作品に結実しているわけです。

夜更けのエントロピー (奇想コレクション)



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