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跳躍者の時空 (奇想コレクション)

Posted on 2012年9月26日 | No Comments

猫×SFというか、ユング的な心理精神世界というか、IQ160のスーパー仔猫ガミッチを主人公とした短編シリーズ(本書には、5篇、『跳躍者の時空』『猫の創造性』『猫たちの揺りかご』『キャット・ホテル』『三倍ぶち猫』を収録)と、現実と幻想の狭間を描いた短編小説を5篇収録。

ガミッチは、彼自身よく自覚していたが、スーパー仔猫だった。知能指数はおそらく一六〇はあるだろう。もとより言葉はしゃべれない。とはいえ、言語能力にもとづいたIQテストなるものが、はなはだしくかたよったものであるのはだれもが認めていることだし、だいいち、彼は早晩しゃべりだすはずなのだ。

導入部から引き込まれたが、物語は大きくスライドすることなく、たぶんに自伝的要素を大量に含みながら、虚実ないまぜになったうえで、あり得たかもしれない人生、物語を描いていく。

ライバーは「幻想小説は現実世界によって肥沃化されなければならない」と述べたことがあるが、その信念をストレートに反映した作品群だといえる。

編者の言葉どおり、本書はSFやファンタジーなどの分野で偉大な足跡を残したアメリカ幻想文学界の巨人フィリッツ・ライバーの数ある作品のなかでも、この信念に従って集められた短編集となっている。先行する邦訳短編集と収録作品が重ならないように配慮され、社会風刺的なSFや、ホラーなどは本書に含まれていない。とはいえ、先行するとされる邦訳短編集二冊はすでに永らく絶版状態ということ。編者の考えなどあるかと思うが、バランスよくフィリッツ・ライバーの良作を紹介する一冊としても、よかったのではないか。

跳躍者の時空 (奇想コレクション)



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