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ウェブ×ソーシャル×アメリカ 〈全球時代〉の構想力

Posted on 2012年1月11日 | No Comments

ただウェブやソーシャルメディアの今を語るだけではなく、アメリカ社会とその歴史を論じながら、未来への視座を多様な視点から描き出していく。

ウェブの誕生とNew Economy、スチュアート・ブランドにより創刊されたWhole Earth Catalog(WEC)とヒッピー/カウンターカルチャーとPC/ウェブ文化、Twitterにおけるアノニマスと遊戯性、Facebook ザッカーバーグのカウンターカルチャー時代の発想と異なる、対抗心や抵抗姿勢とは無縁に、一つの価値を愚直に追求する成長の直進性 etc.興味深い論考が多数。

Apple スティーブ・ジョブズ、Google エリック・シュミットの二人からバトンを受け取ること...次世代の課題、ウェブ世界の理解の仕方を本書を通して発見しなければならない。

WEDは、地球環境を加味した行動をする、という点では、一見すると、昨今の環境重視の政策への転換という世界的動きに呼応しているように見える。しかしその具体的解決手段として小型原子力発電機の利用や遺伝子操作食品の受容を取り上げるなど、必ずしも伝統的な環境運動の動きとは同調しない。ブランドの姿勢は、問題解決に当たり科学が用意する現実解を重視する点でとてもプラクティカルだ。裏返すと何かイデオロギーのようなものだけに突き動かされているようには思われない。

ここにおいて、建築家とデザイナーが等置される。
もっとも先述の通り、建築という領域は、工学部でも芸術学部でも社会科学部でもなく、独立した学部を構成している場合が多く、そこでは、都市計画や不動産開発から実際の建築物の設計・施工、はては内装のようなものまでが同一平面上で検討される。技術も制度も経済も意匠も総合的に検討される、一種の総合科学のポジションをもっている。だから、政治科学を専攻し、集団の組織行動に関心をもつサイモンが、コンピュータという人工物の設計を研究対象にするうちに建築的な発想に近づいたのも全く自然なことだ。コンピュータの特質は汎用性=総合性にあったからだ。

マネタイズで大切なのは、「人々がこれは大事だと感じる」何かを生み出すことであり、その何かへの賛同をユーザー登録という形で支持票として得ていくことだ。何らかの価値=valueを現出させることが先決で、そのvalueを経済的に支え、かつ、再生産可能にするための方法に頭を捻るところがマネタイズのポイントだ。
なぜ、マネタイズのことを取り上げているかというと、突き詰めると「人間関係」の維持と拡大を支援する「場」でしかないソーシャル・ネットワークでは、提供される価値をこれだと特定して言い当てることが困難であり、この点で、マネタイズの問題のいわば極北にあると思われるからだ。
その一方で、ソーシャル・ネットワークの場合、ユーザーの数を増やせば、おのずからその社会的影響力は増す。数億人のネットワークに瞬時に情報を伝えられる経路を持っていることの影響力は計り知れない。そうした評価は、たとえば、Twitterのような企業を買収するとしたらどれだけのお金を払うのかという企業価値の算定で初めて顕在化する。

ところで、いささか言葉遊びになるが、真善美という三つの基本的な価値になぞらえれば、科学的合理性を追求するGoogleは「真」、ユーザーという人間的なインターフェイスを通じて共同体の構築を進めるFacebookは「善」、触感を通じた自在性を売りにすることで、ヒューマンタッチを具体化させたAppleは「美」、という具合にそれぞれ基本的な価値を実現していると見ることもできるだろう。一見すると同じウェブやコンピュータのサービスを提供しているようだが、その実、背後にある価値観は異なる。その価値観=思想の違いが、彼らのサービスの開発や設計=デザインの違いとして表出する。
いずれにしても、科学的合理主義を追求するGoogleに対して、FacebookとAppleは、いわば人間賛歌=ヒューマニズムを復権させてことになる。それは同時に、インターフェイスの設計=デザインの問題、人間性を感じさせるためにどのような「フェイス=顔つき」を与えるのかという問題を突きつける。

ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力 (講談社現代新書)<全球時代>の構想力 (講談社現代新書)



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