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ソーシャル・ビジネス革命 世界の課題を解決する新たな経済システム

Posted on 2011年7月12日 | No Comments

ソーシャル・ビジネスの生みの親にして、グラミン銀行の貧困者救済活動によるノーベル平和賞を受けたムハマド・ユヌスによる、ソーシャル・ビジネス基本の書。

ソーシャル・ビジネスには二つのスタイルがある。ひとつは、社会問題の解決に専念する会社で、企業を投資家が所有する。ただし、投資家は上がった利益をすべてビジネスの拡大や改善に再投資する。二つ目は、貧しい人々が所有する営利会社。直接所有される場合もあるし、特定の社会的目標に専念する信託機関を通じて所有される場合もある。
ソーシャル・ビジネスの投資家は、利潤や配当などの金銭的利益はいっさい受けない。一定期間後に元本を回収することしかできない。

ソーシャル・ビジネスにおける利潤の考え方は以下。

私は利潤の追求を否定するつもりはない。ソーシャル・ビジネスでさえ、利潤を会社に蓄え、社会的利益の拡大に当てるという条件を満たせば、利益を上げることは認められている。利益そのものは悪いものではない。
ソーシャル・ビジネスは、これまでの利潤最大化のビジネス・モデルを一掃するものではなく、消費者、労働者、起業家に新たな選択肢を与え、市場の幅を広げるものだ。ビジネスの世界に新しい次元をもたらし、ビジネス界の人々に新たな社会意識を芽生えさせるものなのだ。

本書に示されたソーシャル・ビジネスの七原則は以下。
(1)経営目的は、利潤の最大化ではなく、人々や社会を脅かす貧困、教育、健康、情報アクセス、環境といった問題を解決することである。
(2)財務的・経済的な持続可能性を実現する。
(3)投資家は投資額のみを回収できる。投資の元本を超える配当は行なわれない。
(4)投資額を返済して残る利益は、会社の拡大や改善のために留保される。
(5)環境に配慮する。
(6)従業員に市場賃金と標準以上の労働条件を提供する。
(7)楽しむ!

ソーシャル・ビジネスが、絶対的な利益追求を否定する理由のなかで、アメリカのフード・バンクの事例が印象的だった。フード・バンクは、個人や企業から寄付された食糧を蓄え、お腹を空かせた家庭に配給している団体。期限切れ食品やへこんだパッケージのものなど、売り物にならない食糧を寄付するスーパーマーケットがフード・バンクを支えてきた。しかし、2009年秋から事情が変わる。スーパーマーケットが寄付してくれなくなったのだ。その理由は、売り物にならない商品を定価の三~四割で買い取る新しいビジネスが生まれたこと。

ソーシャル・ビジネスの未来を描く本書では、
最終的には、ソーシャル・ビジネスへの投資を促進するために、別個の株式市場を設立すべきだろう。いわば"ソーシャル株式市場"だ。ソーシャル株式市場には、ソーシャル・ビジネスしか上場できない。投資家は最初から配当の受け取りを放棄し、深刻な社会問題の解決に手を貸すという誇りや喜びだけを目的にして投資することになるだろう。

という構想もある。

最終章である第九章のタイトルは、「貧困の終焉―その時」である。

ソーシャル・ビジネス革命―世界の課題を解決する新たな経済システム



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